静岡地方裁判所 昭和47年(わ)96号 判決 1972年6月12日
本籍並びに住居
静岡市丸子七二四番地の二
会社役員
望月勘次
大正九年一月一四日生
右の者に対する所得税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官居森喜代関与取調べのうえ、次のとおり判決する。
主文
被告人を懲役八月及び罰金一、四〇〇万円に処する。
右罰金を完納できない場合は五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
但し裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は、静岡市丸子七二四番地の一二に居住し、同市人宿町二丁目四番地の一五にトルコロマン静岡店、清水市松原町一丁目六番地にトルコロマン清水店、浜松市成子町一〇〇番地にトルコロマン清水店、静岡市人宿町二丁目四番地の一五に喫茶トツプの四店舗を有し、トルコ風呂および喫茶店を経営しているものであるが、売上の一部を除外し架空名義の預金を設定する等の方法によつて所得税を免れようと企て、
第一、昭和四三年分の総所得金額は三五、四五九、八九一円であり、これに対する所得税税額は一八、七五五、六〇〇円であつたのにかかわらず、同四四年三月四日、静岡市追手町一〇番八八号所在の静岡税務署において、同税務署長に対し、同四三年分の確定申告をなすに際し同年分の総所得金額が一五、〇〇〇、〇〇〇円であつて、これに対する所得税額は六、五一二、四〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて不正の行為により、右正規の所得税額と右申告税額との差額である所得税一二、二四三、二〇〇円をほ脱した。
第二、昭和四四年分の総所得金額は、四四、四九〇、三〇九円であり、これに対する所得税額は、二四、五一一、〇〇〇円であつたのにかかわらず、同四五年三月一四日、静岡市追手町一〇番八八号所在の静岡税務署において、同税務署長に対し、同四四年分の確定申告をなすに際し、同年分の総所得金額が一二、六四七、六五二円であつて、これに対する所得税額は、五、一九七、一〇〇円である旨の虚偽の確定申告を提出し、もつて、不正の行為により、右正規の所得税額と右申告税額との差額である所得税一九、三一三、九〇〇円をほ脱した。
第三、昭和四五年分の総所得金額は、五二、九〇二、九一八円であり、これに対する所得税額は、二九、三七七、三〇〇円であつたのにかかわらず、同四六年三月一五日前記静岡税務署において、同税務署長に対し、同四五年分の確定申告をなすに際し、同年分の総所得金額は、二三、二七三、八〇六円であつて、これに対する所得税額は、一〇、八八四、八〇〇円である旨の虚偽の確定申告を提出し、もつて、不正の行為により、右正規の所得税額と右申告税額との差額である所得税一八、四九二、五〇〇円をほ脱した
ものである。
(証拠の標目)
公判調書引用の
一、甲1検察官証拠請求目録請求番号1乃至150の各証拠及び甲2検察官証拠請求目録請求番号1乃至120の各証拠
一、乙検察官証拠請求目録請求番号1乃至36の各証拠
(法令の適用)
一、所得税法違反の点 同法第二三八条
一、併合罪加重の点 刑法第四五条前段第四七条本文第一〇条第四八条第一項第二項(但し懲役刑について最も重い第二の罪の刑に法定加重)
一、罰金を完納できない場合の換刑留置の点 刑法第一八条
一、懲役刑の執行猶予の点 刑法第二五条第一項
(裁判官 相原宏)
右は謄本である。
昭和四七年九月三〇日
静岡地方検察庁
検察事務官 青木義男